わたしには、かねてから、音楽の先生になりたいと言う夢がありました。
しかし、わたしは、ピアノの先生にはなりたいと思っていませんでした。
音楽とは、リズム遊びとか、歌とか、輪唱とか、
とにかく楽しいものでなくてはならないのです。
だから、教職を取るのなら、幼稚園とか小学校とか、
他には保育園の先生の資格を取りたいなと思っていました。
しかし、あろうことか、わたしの大学生だったころ、
少子化が加速し、教員を目指したい人には、大学の先生があきらめるように説得する光景が多々見受けられました。
わたしは、大学卒業後、高齢化に向けて、福祉施設の職員になりました。
福祉施設の職員でも、ピアノは弾けるし、歌は歌えるし、輪唱も出来るし、リズム遊びも出来るけれど、大人の障碍者がどういう反応をするかは想像できませんでしたし、就職した先ではぺーぺーでしたので、レクレーションをわたしが主導で行うこともできず、先輩たちに言われるまま、自分のやれることをただひたすらにこなしていく毎日でした。
楽譜を読むのが苦手な私は、ソナチネアルバムをやるころには、耳で聞いてそのまま演奏する傾向が出ていました。ソナタに入る前になぜか親にピアノを辞めさせられ、大学では、ジャズピアノを始めました。楽譜はなく、コード譜を読み、CDで聞いたままの演奏を再現しようと努力し、アドリブの部分は即興演奏です。理論の勉強もしなくてはならないし、コードもがんばって勉強しました。
音楽の先生になりたいという夢はいつのまにやら忘れてしまい、
楽譜の読み方も忘れ、
そのまま結婚するまで、すごしました。
子どもが生まれ、ピアノを習い始め、
いっしょに勉強をしていて、ちょこっとづつ楽譜の読み方を思い出しました。
子どもが小学校に上がり、小学校の先生になろうと思いました。
音楽の先生になるには、まだまだピアノの腕に問題があったし、小学校の方がとっつきやすかったのです。
小学校の音楽教育法の授業で、ピアノの曲目リストがシラバスに載っていました。
それにそってピアノのおさらいをしてみたら、
意外と、ソナチネアルバムを覚えている自分に気が付きました。
ソナチネアルバムの曲を幾曲かこなし、
ついでに、ソナタをやってみました。
モーツアルトピアノソナタK545は、楽譜を読むのに何か月もかかり、
リズムの間違いを訂正するのに数か月かかり、
最後の主旋律が倍速になる癖を治すのに6か月かかりました。
また、楽譜を読むのに何か月もかけ、
指がもつれるのを治す練習に何か月もかけ、
そんなこんなやっているうちに、
これだけ弾けていたら、別に中学校や高校の音楽の先生目差してもいいんじゃない? って思えるようになってきました。
ただ、子どもに音楽を教えるのに、ソナチネとかソナタってあんまり関係ないような気がします。
リズムを手でうったり、踊ったり、音楽に合わせてゲームしたり、
そっちのほうが小学校の音楽っていう感じで楽しいのです。
教育実習で一番苦労したのは、この音楽でした。
道徳も苦労しましたけれどもね。